PRSPCT RecordingsからTHE SATANの新譜「PRSPCT XTRM 31」
先月の初めに、大手ハードコアドラムンベースレーベルである「PRSPCT reccordings」から、あるEPがリリースされました。"PRSPCT XTRM 31"です。
そのトラックメーカー「THE SATAN」は、クロスブリード界隈に彗星のごとく現れ、近年オリジナリティ溢れる強烈なトラックをリリースし続けている、今注目のアーティストの1人です。
先述したEP"PRSPCT XTRM 31"では、彼の現在の音楽スタイルが大きく表されています。
不穏な印象を与える空間音、怪しげな印象を与える電子音、左右から襲い掛かるノイジーなベース、特徴的なアタック音で音圧強めに調節されたキックドラム、特徴的なスネアドラム、現在のクロスブリードに欠かせない要素を盛り込みながら、その一つ一つの上に彼の個性が確立しています。
特に3曲目の"The Satan - Psycho"では、キャッチーな男性ヴォーカルのサンプリングから始まり、メインの展開ではアタックが硬めのキックや、左右にうねりを利かせたブルータルなベース、そしてリズム良く盛り込まれた強烈なスネア音でタイトな展開をつくりだし、次にサイバーなベースを主役に置いた4つ打ちの展開で曲の盛り上がりを安定させています。
非常に惹きつけられるトラックになっています。
~ そもそも"クロスブリード"とは? ~
クロスブリード(Crossbreed)は、ハードコアテクノのいちジャンルとして、ハードコア黎明期から精力的に活動しているトラックメーカー「The Outside Agency」が提唱したもの。
ハードコアテクノ、ガバ、ダークステップ、ドラムンベースなど、アンダーグラウンドなダンスミュージックの要素が入り乱れた(混在した)新しいジャンル、それがクロスブリードです。
同義語としてハードコアドラムンベースという用語がありますが、クロスブリードが一般的にジャンル名として扱われるのに対して、ハードコアドラムンベースはPRSPCT Recordingsそのものと、リリース作品のジャンルを指す用語という風に捉えられます。
現在、オランダの大手ハードコアドラムンベースレーベル「PRSPCT Recordings」を筆頭に、世界各地のハードコアのイベントでヘヴィプレイされている注目のジャンルです。
オランダで行われている大型ハードコアフェスの一つである「Hardshock Festival」では、先述したPRSPCT Recordingsのオーナーであり、トラックメイカーとしての顔もあるThrasher、そしてLimewax、DJ Hidden、I:Gor、THE SATAN、Hallucinator、Detestといった個性的かつ激しい展開を得意とするトラックメイカー群が、クロスブリードというジャンルを盛り上げています。